タクシーが特にひどかった・・・
海外に行くならもうここ以外で・・・と思うほどでした。
案内書にいわくー"メキシコシティーのタクシーは、メーターがあっても一応交渉して乗ること。
ただし、交渉どおりの額で乗れるとはだれも保障しない"これではいったい、何を根拠にタクシーに乗ればいいのか。
そしてもう一つメキシコシティーのタクシーの悪いことは、相乗りがあるということです。
あるときも、やっと交渉してタクシーに乗りました。
ホテルまでいくらでと、ちゃんと運転手もオーケーをしたし、安心して乗りこんだのです。
そうしてしばらく走ったころ、タクシーが止まった。
そして二人の男が何のあいさつもなしにうしろの私の隣へ乗りこんできた。
ぐいと大きなかたい尻が私の尻を押してきた。
彼らは、あたりまえのようにして、自分の尻をもっといい位置へ落ち着けようとするのか、さらにぐいぐいと押してきた。
前の運転手に呼びかけたが返答なし。
そしてまた止まった。
こんどは大きな籠の中に何やら入れた太ったおばさんがうしろの席へ乗りこんだ。
かたい尻のおじさんの隣へです。
一人分、おばさんの尻の分量だけ、こっちへ押さないと乗れないのは必定です。
来たな、と思ったとたん、かたいおじさんの尻がどしーんとぶつかってきた。
あわててよけた私の尻は哀れにも、行く先がなくて、反対側のドアにぶつかった。
乗ったときにはこっちのドアのところにいたのに、またたく間の大移動でした。
あまりの仕打ちに、前の運転手のほうへ手を伸ばそうとしたが、隣のおじさんの尻に押さえられて、それにこのタクシーの座席のクッションがやわらかすぎて、体がめり込んでしまって半分も起きあがることができない状態です。
無念の歯ぎしりをしても、この押さえ込みにあってはなんとも手のほどこしようがない。
うーん、チクショー、と、運転手の横顔を見たとき、このタクシーのからくりがわかった。
この運転手の野郎、鼻唄を歌いながら、窓から片腕を出して運転しているのだ。
そしてときに、立ち止まっている人を見ると、その出している腕をぐっとさし出して、指を一本立てています。
このサインで客をひろうのだ。
一ペソでどう、というサインだ。