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2011年10月 アーカイブ

タクシーが特にひどかった・・・


海外に行くならもうここ以外で・・・と思うほどでした。


案内書にいわくー"メキシコシティーのタクシーは、メーターがあっても一応交渉して乗ること。


ただし、交渉どおりの額で乗れるとはだれも保障しない"これではいったい、何を根拠にタクシーに乗ればいいのか。


そしてもう一つメキシコシティーのタクシーの悪いことは、相乗りがあるということです。


あるときも、やっと交渉してタクシーに乗りました。


ホテルまでいくらでと、ちゃんと運転手もオーケーをしたし、安心して乗りこんだのです。


そうしてしばらく走ったころ、タクシーが止まった。


そして二人の男が何のあいさつもなしにうしろの私の隣へ乗りこんできた。


ぐいと大きなかたい尻が私の尻を押してきた。


彼らは、あたりまえのようにして、自分の尻をもっといい位置へ落ち着けようとするのか、さらにぐいぐいと押してきた。


前の運転手に呼びかけたが返答なし。


そしてまた止まった。


こんどは大きな籠の中に何やら入れた太ったおばさんがうしろの席へ乗りこんだ。


かたい尻のおじさんの隣へです。


一人分、おばさんの尻の分量だけ、こっちへ押さないと乗れないのは必定です。


来たな、と思ったとたん、かたいおじさんの尻がどしーんとぶつかってきた。


あわててよけた私の尻は哀れにも、行く先がなくて、反対側のドアにぶつかった。


乗ったときにはこっちのドアのところにいたのに、またたく間の大移動でした。


あまりの仕打ちに、前の運転手のほうへ手を伸ばそうとしたが、隣のおじさんの尻に押さえられて、それにこのタクシーの座席のクッションがやわらかすぎて、体がめり込んでしまって半分も起きあがることができない状態です。


無念の歯ぎしりをしても、この押さえ込みにあってはなんとも手のほどこしようがない。


うーん、チクショー、と、運転手の横顔を見たとき、このタクシーのからくりがわかった。


この運転手の野郎、鼻唄を歌いながら、窓から片腕を出して運転しているのだ。


そしてときに、立ち止まっている人を見ると、その出している腕をぐっとさし出して、指を一本立てています。


このサインで客をひろうのだ。


一ペソでどう、というサインだ。

続き

前回の海外旅行の続きですが、うしろで押しつぶされている客がいるというのに、このうえまだ客をひろうつもりか、まだ指を一本立てています。


そしてまた止まった。


こんどは若い娘、ちょっと美人が乗りこんできた。


でもそれは前の席へ、運転手がわざわざドアをあけて乗せた。


客の容姿によって、彼は前と後ろに客を振り分けているのか。


心なしか、運転手の大きな体は先刻よりも、娘のほうへ近づいたようです。


その彼がまた一本の指を立てています。


まだやる気か/こんど止まったときは、おじいさんだった。


おじいさんなら、娘との間を邪魔されないと踏んだのか。


こうして、運転手を入れて都合七人の人間がなんとも不思議なアンサンブルで、メキシコシティーの中を走り回ったのです。


まずおじいさんが降り、そのあともう一人年増の厚化粧が前に乗ったが、うしろはまた一人ずつ降りていった。


最後に隣のおばさんが降りて、うしろはまた初めと同じ、私一人が残った。


やおら運転手が、「○○ホテル?」と聞いた。


そうだ、と答えると、運転手、急にスピードを上げた。


そしてホテルに着いた。


降りると、決まったもののように、右手を出した。


その手の上へ、強く、一ペソをピシリッ、と打ちつけるようにして投げてやった。


何か言おうとしたが、それこそこれ以上むけないと自分でも思うほど目をむいてやった。


そしてにらみつけてやった。


とたんに、彼の目がたじろいだ。


ぶつぶつ言いながら、しかたがない、とあきらめたのか、ハンドルを握り直して走り出した。


こういうことはしょっちゅうだった。

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